資源マネージメント研究室で行っている研究

この研究室で行っている研究は大きく分けて2つの分野に分かれます。

  • 採鉱工学
  • 資源情報学

採鉱工学

この研究室の大きなテーマの一つがSmart Mining です。Smart Miningとは昔から続く採鉱学に人工知能などの情報学を取り入れることによって、鉱山操業をより効率的により安全に行うというものです。近年の鉱山は低濃集化が進み、かつより深いところまで掘らないといけない時代になっています。このような時代背景のもとこれからの採鉱学では、低農集化が進んだ鉱山でどれだけ効率よく資源を掘ることができるのか、どのようにして地下深くでも安全に掘るのかを考える必要があります。

安全に掘るということに関連して、坑内作業者の健康を管理するというのも重要な要素です。地下坑内では常に暗く温度湿度の高い環境に居続けることになります。当然そのような環境では気分が悪くなったり注意が散漫になることが起きかねません。この研究室ではこのような作業者のヘルスチェックを行うシステムの開発を行っています。その概要は、地下坑内にインターネット環境を整え坑内作業者に付けたスマートウォッチから心拍数を読み取るというものです。ネット環境のない地下坑内にインターネット環境を整えるのがこの研究の課題ではありますが、通信系の知識も勉強しながら研究に取り組んでいます。

また近年問題になっているのが熟練工夫の減少です。今までベテランの作業員が一人で指示をしていた現場で、急にその作業員がいなくなるとその鉱山は動かなくなってしまいます。また急にいなくなることはないにせよ、若手作業者の減少と作業員の高齢化によって、ベテラン作業員の技術の継承が難しくなっていることは確かです。このような問題の解決策として、この研究室ではVR/ARを使用した教育方法の検討も行っています。例えばoculusのようなヘッドマウントディスプレイを利用することで、簡単には行くことのできない地下坑内の様子を手軽に体験することができます。またベテラン技術者は現場に行くことなく自分の技術を教えることができます。この研究室ではVRを教育に使用するという観点から、昨年北大の建築棟に360°3Dシアターを作りました。このシアターを利用することで複数人が同じ映像を共有することが可能となり、さらなる教育効果が期待できると考えています。

資源情報学

この研究室では採鉱工学のみならず、土木の分野にも力を入れています。土木分野では既存の技術に情報学を組み合わせることで作業の効率化を手助けしています。

例えば我々が使用している機材にハイパースペクトルカメラというものがあります。人間の目は赤緑青の色の強さで光を認識しています。しかしこのカメラではこの三色以外の光の強弱も調べることができます。つまり人間の目には同じ色に見えるものもこのカメラを使えば違いがはっきりと出るものがあります。右の図はあるコンクリートを撮影したものですが、右側の赤色の部分がアスベストという有害物質が含まれている部分を示しています。左側の通常の写真では全くわからない異常部分もハイパースペクトルカメラという特殊なカメラを使用すればこのように違いがはっきりと表れることが分かります。

これは地質の研究とも関連が強いですが、岩石の判別をAIにしてもらうという研究もあります。事前に様々な産地からとれた蛇紋岩をAIに記憶させ、その後に任意の石をAIに見せることでこの石は蛇紋岩かそれ以外の石かを判断してもらうというものです。この技術を使うには多少のプログラミング技術と情報学の知識が必要ですが、これらの知識も研究室に入った後少しずつ学んでいくことになります。

このように土木の現場ではAIやVRなどの最新の技術がすぐに取り入れられる場でもあります。この研究室ではそのような最先端の技術の研究を行っています。